応募対象の概要
主の“住宅”にコミュニティ仲間の小さな“別荘”の機能を付加し合い建築することで、“複数拠点生活”の場を異なる地域に有することができるという計画。「里庭」という空間によって、光や風や緑を享受し、日常時でも非常時でも快適で開放的で豊かな暮らしができる“住宅”で、“別荘”は非常時には“避難住宅”にもなる。
フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント
“住宅”の一部を“別荘”としてシェアすることで日常時でも非常時でも“サードコミュニティ”&“サードプレイス”をセットで維持できるので、暮らしの変化を少なくしてストレスを低減できる。また住宅自体も、「里庭」という空間を通して光や風や緑といった自然環境資源を活用することで暮らしを豊かにするとともに、パッシブな計画によって省エネになるだけでなく停電時も有効となる。さらに「里庭」空間が、通風や日射遮蔽を活用した熱波災害対策(夏季停電時を含む)、防風柵や雨囲い的に機能する暴風・豪雨災害対策、構造コアや構面の適切な配置による地震災害対策、「ぬれ縁」という設えによる洪水災害対策といった役割も果たしている。
カテゴリ
被害のレベル
プロブレムの種類
活用タイミング
汎用性評価
70 /100点
住宅の一部を「別荘」として借りられるようにすることで、いつでもサードプレイスとして活用できることから、日常時の「When」が、共有の「里庭」空間では、光や風、緑によって快適な暮らしができるため、「Why」の評価が高い。また、「別荘」は災害時に自宅以外の避難スペースとして活用できるため、非常時の「Where」が、暮らしの変化を少なくしてストレスを低減し、被害評価、避難・救助、復旧・復興がしやすいため、「When」と「Why」で高い評価を得ている。
有効性評価
66 /100点
日常時は仲間が集う複数拠点の暮らし、非常時はストレスの少ない避難住宅として、両方のフェーズで「QOL影響能力」が高く評価されている。「別荘」をシェアし、「里庭空間」を通じて自然環境を取り込むことで、明るく快適な暮らしができ、災害対応もできるため、「機能面デザイン」の評価が高い。間取りと配置、契約上の仕組みを工夫することで、サードプレイス・サードコミュニティの可能性がさらに広がることから、「開発促進」と「価値共有」でも評価されている。
総評
日常生活の上では、「里庭」が光や風を取り込み、緑を楽しむこともできるため、日常時も非常時も開放的で豊かな暮らしが可能。非常時には「別荘」が避難住宅にもなるため、使い慣れたサードプレイスが活用できることで安心にもつながる。暮らし方の多様性、サードプレイスとしての活用、サードコミュニティの形成、これらは全てフェーズフリーの「汎用性」・「有効性」を高める要素となっており、普段の暮らしやコミュニティが、災害時の助けになる仕組みを備えている。
受賞者コメント
『里庭の庵』は、気の合う仲間が集い豊かで楽しい暮らしができる「仲間の“別荘”機能を有する住宅」である。“別荘”は非常時には“避難住宅”として機能し、既存のコミュニティが日常時だけでなく非常時も維持されたままの“複数拠点生活”が可能となるので、暮らしの変化が少なくストレスを低減できる。また「里庭」という空間によって光や風や緑といった自然環境資源を活用して暮らしが豊かになるとともに、空間自体が熱波災害対策、暴風・豪雨災害対策、地震災害対策、洪水災害対策といった役割も果たしている。
受賞者プロフィール
travelbag 齋藤 信正